突然ですが、(−2)×(−5)=という問題(答え.10)を解く時に、マイナスとマイナスを掛けるとプラスになる理由を考えたり、いちいちマイナスとマイナスを掛けるとプラスになることを証明したりしたいと思う人はいないのではないでしょうか?
おそらくマイナスとマイナスを掛けるとプラスになることは当たり前のことだと考えている方が多いでしょう。
今まで、基礎をきっちり理解することで、問題を解けるようになると言われた経験があると思いますが、(−2)×(−5)=の場合マイナスとマイナスを掛けるとプラスになるということの意味を理解して問題が解けたのではなく、マイナスとマイナスを掛けるとプラスになるということを覚え、「型」を身に付けたことで問題を解けたのではないでしょうか?
「型」を身に付けることは、このような単純な問題だけでなく、文章問題や図形問題でも活かされます。
「型」を身に付けるには反復練習が必要となりますが、身についた「型」が増えることで成績は上がります。
私自身、数学はあまり得意ではなかったですが、大学受験の際、「型」を身に付けることを意識することで、数学の偏差値が50前半から70を超えるようになりました。
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具体例に入る前に、一番重要なことを先に言っておきます。
数学の問題を解くというのは自分で考えて答えを出す(発想する)というより、公式や例題などのも元々ある考え方=「型」に沿って処理するということです。
例えば、三平方の定理を知らない子がテストで三平方の定理を使わないと解けない問題に直面した時、テスト時間内に三平方の定理を自分で発見する確率はほとんど0でしょう。
今までに習い、覚えている考え方=「型」の中から、今、解こうとしている問題を解くための考え方=「型」を選び、その考え方=「型」の中で処理しているのです。
証明問題を「型」にあてはめて解いてみる!
前置きが長くなりましたが、ここからが具体例です。
多くの中学生が苦手であろう証明問題を取り上げます。
証明問題も型を身につければ、解けるようになります。
証明問題の場合、
①三角形の合同条件、偶数を2n(nは整数)表す、などの個別の型と、
②証明流れ全体の型の二つの型から成り立っています。
2nなどの個別の型の場合
①、三角形の合同を証明したいのであれば、三角形の合同条件、奇数であることを証明したいのであれば、2n+1または2n-1が奇数を表すことを当たり前だと思うように反復練習しなければなりません。
仮定に書かれている日本語を式に表せないと先に進めませんし、問題文に日本語で書かれている結論を式だと、どう表すかがわかっていないと、ゴールが見えないので途中でつまずいてしまいます。
証明問題に入る前の単元で三角形の性質や文字式の表し方を習うと思います。
その単元での反復練習が不可欠です。
例えば、3の倍数を3nと表すということの意味がわからなく、3×1、3×2、3×3、3×4・・・nが整数だと、3nはいつも3の倍数だねと説明してもピンとこない子もいるかもしれませんが、納得することより3の倍数を3nと表すことを覚えることが重要です。
極端な言い方ですが、数学の問題を解く際に公式などの決まりごとは手段であり、問題を解くための道具です。このことは−2×(−5)=10のところでおわかりかと思います。
あまり納得できなくても、3の倍数を3nと表すことを利用することで、確実に正解に近づきます。
②の型の場合
②、①の型を身につけても、証明問題を苦手だと感じることがあるでしょう。
それは証明の流れがわからず、書き方がわからないという場合が多いです。
その場合、お手本である例題や問題集の答えをそのまま真似すればよいのです。
答えを見て意味がわかった→A
答えを見てもわからない→B
A、答えを見てわかれば、問題集の答えを閉じて解を書き始めます。
おそらく一回で記憶し、すべて書けないと思うので、書けなかったら、もう一度答えを見て、問題集の答えを閉じ、続きを書くことを繰り返します。
最終的に一度も答えを見ず、最初から最後まで書けるよう繰り返してください。
これが型を身につけるということです。
(今回、いちいち問題集の答えを閉じることの理由は割愛します。)
B、先生や友達など周りの人に聞いたり、①に戻ったりしてください。
①の三角形の合同条件、偶数を2n(nは整数)表す、などの個別の型を身に付けているのにわからない場合は、仮定を表す式から結論を表す式までの式変形に問題があると考えられるので、自分が苦手な式変形の分野を復習してください。
意味がわかればAに進んでください。
今回の記事で数学の成績がいい人は発想力などの特別な才能を持つ人だと考えていた方の誤解を解くことができれば、幸いです。
「型」を身に付けることは反復練習を伴い大変ですが、一問でも多くの問題解けるようにし、自信をつけていきましょう。