独学で中国語を学んでいるとそのうち現地へ留学に行きたくなってうずうずしてくるでしょう。そんな方のために、ここでは簡単に私の語学留学体験記を紹介します。
私が語学留学として選んだのは楡林という聞いたこともない町にある大学。
なぜこの大学にしたかというと、北京・上海の大学に比べて中国人学生との交流が圧倒的に多いからです。
授業中も留学生が多い時で7人だったので、発言回数も多く話す能力を伸ばすにはもってこいなのです。
交流しながら中国語を学べる環境
まず学校側主催の中国語会話コーナー。毎週金曜日の晩7時前後~始まり、きりの良い所で各自帰る、というまさに留学生にはもってこいの集まり。
やってくる中国人学生は外国語学部だけでなく文学部や政治経済、さらには理系学部の生徒までやってきます。
一応国際交流所という留学生を管轄している部署がこの会を運営しているのですが、毎週のポスターを除き、基本的に生徒任せにされており参加する側も気楽に参加することができます。
そこでできた友達は数知れず、北京などの大都市にはこういった制度があるのでしょうか・・・?
次に英会話コーナー。これは週に2回あり元々は中国人学生向けだったのですが、留学生は皆英語を話すことが出来るので今では留学生もたくさん参加しています。
また私たち日本人留学生もここで英会話を気楽に練習することができ、英語圏に行かずとも話す機会はあります。
この2つの交流会は中国人学生がみな学校の寮に住んでいるからこそ可能であり、日本ではなかなかこの機会を真似することは難しいでしょう。
ただ、これらの交流では本当に気の合う友達を見つける機会は少ないかもしれません。
というのも、中国人学生のほうも時間があればやってくるというスタンスなのです。
本当に友達を作りたいという場合にはクラブ活動に参加するとよいでしょう。
この学校ではすくなくともギター部、英字新聞サークル、コスプレサークルなどの文化系のサークルは充実しています。
一方体育系のクラブというものはなく、皆自由にバスケットボールやサッカーをしています(ちなみに野球をしているところはみたことがありません)。
学校外でも友達を作ることはできます。
特にこの地方都市では留学生が少ないため、一度留学生という身分をしられると結構はっきりと覚えられており、半年後に行っても「お、久しぶり」と声をかけてもらいます。
お陰でよく行く店ではたまにまけてもらうこともできます。
大都市では外国人の数も年々増えてきているので、これは地方都市ならではの特権とも言えます。
語学を習得するために大切なことは座学とのバランス
もちろん課外学習だけではいけません。大切なのは座学とのバランス。
この留学を通して思い知ったのは「日頃の予習・復習の大切さ」です。
というのも、私の周りには留学1年目にして中国語でコミュニケーションが取れるようになった外国人留学生が何人かいますが、彼らはいま伸び悩んでいるのです。
その原因はまさに「勉強不足」。もちろん彼らは漢字がわからないので圧倒的に不利なのですが、それを考慮しても新しい表現方法などをなかなか習得できずにいます。
これはなぜか。答えは簡単で授業をしょっちゅうサボっているからなのです。
日本人は座学を、外国人は課外学習をそれぞれ重視する傾向がありますが、大切なのはそのバランス。
私も最近ようやくそのことに気が付き、バランスをとるためにも常に「この表現はどの場面で使うのか」などと、いわば表現のストックをたくさん貯めることにしています。
高校生の皆さんも「イマ何のために勉強しているのか」と悩むことがあるかもしれませんが、必ず自分の頭で「これはこういう状況で使うんだな」ということを意識して勉強してください。
入試のために勉強するということでは本当にもったいないのです。
今回の留学を通して身にしみたこと、それは「言語」は単なるコミュニケーションツールにすぎない、ということです。
みなさんもどこかでこの言葉を一度は耳にしたかとは思いますが、少し具体的に説明させてください。
中国人と本気で交流したいなら
私はHSK(中国語国際検定なるもの)で最高級の6級を取得しました。
もちろんたくさん努力もしましたし、これはこれで満足する部分もあります。
しかし、このHSK6級を所持しているからといって話すことが出来るのかといわれると答えは「半分イエス」です。
というのも、私たちが中国語を話す機会というのは実に「相手から聞かれる」時がほとんどなのです。
言い換えると、自分から聞いたり、意見をいう回数はとても少なく、対等と言える関係ではありません。
本当に中国人と交流したければ「相手に中国人」とおもわれるレベルで交流する必要があるのです。
それは単に相手からの質問に答えるだけでなく、自分の中国語を駆使して彼らの文化を理解し、価値観の違いを認め合いながらも中国社会に溶けこむのです。
もちろん、中国人から「中国語上手だね」と言われれば、私も自分の今までの努力が報われた気がしますし、ある程度の目標は達成できたと自信を持つことにしています。
しかし現在の私の目標は、留学生として甘やかされながら扱われるのではなく、一人の人として扱ってもらえるほど「中国人っぽく」なりたいです。
そうなることで初めて彼らの考え方・習慣・文化を理解する糸口がつかめるのです。
私が中国語を学び始めたのは「経済大国だから」というなんとも単純な理由からですが、今は彼らの考え方を根本から理解し、少しでも日中間交流の役に立つことができたら、と志し日々精進しています。